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【検索用 うたにかたちはないけれと 登録タグ CD CDう dorikoCD 全国発売】 + 目次 目次 CD紹介 曲目 公式サイト コメント 前作 本作 次作 - 歌に形はないけれど 夕日坂 doriko 通常版(全国) 初回版(同人) 発売日 2008年6月11日 2008年3月26日 価格 ¥1,000(税込) ¥1,000(税込) レーベル Groove note CD紹介 曲名:『歌に形はないけれど』(うたにかたちはないけれど) きりたんPことdorikoの1stシングル。代表作2作を携えて Groove note からデビュー。 イラストは初回版・通常版共にnezuki氏が担当。 当初は同人ルートで発売されたが、発売直後に全国流通の許可が下りたため「通常版」としての再販が決定した。 収録曲は2曲ともJOYSOUNDからカラオケ配信中。 通常版発売同日に、2ndシングル『夕日坂』も発売された。 6/10付オリコンデイリーシングルチャートで、初登場25位を記録。 本作及び『夕日坂』は、現在の店頭在庫をもって廃盤となるようです。(作者サイトより) 曲目 歌に形はないけれど ぶちぬけ!2008! 歌に形はないけれど(Piano Re-arrange ver) 公式サイト Groove note(doriko) コメント 買った。 -- はるか (2009-01-16 22 04 30) ほしい!どこに売ってる!? -- あかね (2011-06-23 14 05 48) メイトにあったよ dorikoさんのアルバムのに全部入ってるから買わなかったけど欲しいなぁ -- 名無しさん (2011-06-23 16 27 06) 良い歌だよね~ もうなけちゃう! -- 名無しちゃん (2013-07-15 12 03 50) 泣きはしないか(笑) いいなぁ!欲しい!! -- 名無しちゃん (2013-07-15 12 06 40) 名前 コメント
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じゃあ……また明日ね。 「おう。また明日」 夕焼けに赤く染まる世界の中。あたしはいつもと変わらない背中で歩くあいつを見えなくなるまで眺めた。 どうしてあんなに平然としていられるのよ。あたしに告白しといて……。 そりゃあたしはたくさん告白されたしたくさんフってきたし、たくさん付き合ってきたわ。 でもね、こんなに近い人間に告白されたのは初めてなのよ。そう。あたしにとって『どうでも良くない人間』に告白されたのが初めて。 気がついたらいつも一緒にいる男。キョン。あんたはあたしを好きだって雰囲気なんて一切見せなかったじゃない。 なんでいきなり告白なんかするのよ。ふざけないでよ。あたしだってそうとわかってればそれなりの心構えで行ったのに。 心臓も頭も体も変になっちゃったじゃない。あ、立ってらんない……。 ベンチに座っていいかな? もうすぐ暗くなりそうな時間なんだけどさ。 キョンに告白された川沿いのベンチ。一度は立ち上がったけどもう一度そこに座り込んだ。 やばい。あたしとしたことが予想してなかったわ。まさかキョンがあたしを好きなんて。 だってこれまでそんな素振りは一回も見せなかったじゃない。 好きな人がこれだけ近くにいるなら何らかの動きがあるはずでしょ? いつもあたしじゃなくてみくるちゃんとか有希ばっかり見てるくせに……。 「なんだ。まだ居たのか?」 うひゃっ!? あ、あああんたこそなんでまだいるのよ! 「……お前が座布団にしてる物が何かわからないのか?」 不意に気付くお尻の下の感触。キョンのカバンがそこに置かれていた。 「さっさと退いてくれ。帰れん」 「はいはい。ちょっと待ってなさ……」 ちょっと待つのはあたしの頭の中よ。ここで退いたらキョンはあたしのお尻に敷かれた温もりのあるカバンを持って帰ることになるのよ? そんなの恥ずかしいじゃない! ここは意地でも退けないわ! 「おい。声に出てるぞ。いくら俺がハルヒのことを好きだからってそんな変態のような真似はしないからさっさと渡せ」 口に出てたかしら? いや。でもキョンが何と言おうが渡せないわ。 「そうか。じゃあ俺も横に座って待つぞ。……よっと」 ……しまったわ。こんな頭の中がグチャグチャの時にキョンが隣りに座るなんて予想外だわ。 そもそも平常心でいられるこいつは本当になんなのよ。軽い気持ちの告白? それは無いわね。あれだけ熱意のこもった告白受けたのは初めてだもん。 まさか平常心を装ってるのかしら? それはあるかもしれないわ。 あたしから手を触られたら意外に真っ赤になったりして。真っ赤なキョンなんてなかなか見れないわよね。 試してみる価値はあるわ……。 ベンチを見下ろすと二つの手が見える。あたしのちっさい手とキョンの意外におっきな手。 そういえばお互いに手を繋ぎあったことって無いのよね。いつもあたしが引っ張るだけで。 ちょっと繋いでみたいかも。……でも繋いじゃったら単純なキョンは勘違いしそうね。 あたしが告白をOKしたって思い込みそう。 それはそれでいいのかしら? あたしはどう返事しようとしてたんだっけ? あー。わかんない。心臓が脈打つ。頭がグラグラする。目が回る。 あたしはキョンを好きなの? 好き嫌いで言ったらそりゃ好きよ。 じゃあ恋愛感情は? 考えたこともないわ。だってこれまで通りでも楽しかったんだから。 返事を出せないあたしは何を考えてるんだろ……。 「おーい」 なによ。マヌケな声なんか出しちゃって。 「お前こそ何なんだ。俺の手をいじくりまわして」 キョンの右手があたしの両手に包まれてることを視界に入れた。……あたしってバカ? 無意識でこんなことしてるなんてあたしの方が変態じゃない。 「まぁだいぶ暖かいけどな。お前の手も暖めようか?」 キョンは何も気にしてないみたい。これくらい今まで通りよね。あたしが意識しすぎか。 「そうね。頼むわ。しっかり暖めなさい」 キョンの両手があたしの両手を包んだ。あー、暖かいわ。やっぱり思った通り安心感がある。 まるで小さい頃に握られた親父の手みたい。 「返事は……」 キョンはあたしの手を暖めながら口を動かしてた。あたしの顔を見ながら。 「返事はお前が口で言うまで待つからな。だからこうやって手を握ったって何されたってお前が言葉でOKを出すまでは俺達は『団長』と『団員』だ」 何が言いたいのかよくわからないわよ。バカキョン。でもなんとなくわかった気がする。 たぶんキョンはあたしに時間をくれたんだわ。考える時間を。 その優しさは本当にうれしい。でもね……キョンのくせに上から目線なのがムカつくわ。 今のセリフを逆手に取って反撃してやるわ。あたしはいつでも上じゃないとイヤなの。 「キョン。それはあたしが何をしても付き合ったりフったりしたことにならないわけよね?」 「その通りだ。お前が俺に全力ビンタをかまそうがフったことにはならん」 なかなか面白いじゃない。ちょっとこっちに寄りなさい。キョン。 「うげ……マジか」 キョンは本当にビンタをされると思ってるみたい。思いっきり目を瞑ってる。 でも違う。あたしの反撃はそんなもんじゃないの。 「ちゅっ」 これがあたしの反撃。何故か一回だけあった夢の中を含めたら二回目。現実なら初めてのキョンとのキス。 「は? 今、ハルヒお前……?」 今日は帰るわ。返事は保留にしとくんだからね! 生殺し作戦とでも呼んどくわ。キョンは期待するだろうけどまだ付き合ってはないって状況でイライラさせたげるのよ! ふふふ。楽しくなってきたわ。 「今度こそまた明日ね! バイバイ、キョン!」 目覚めもよく、あたしはいつもよりさらに早く学校へと向かった。 昨日のモヤモヤも全部なくなったし足取りも軽いわ。今日も教室に一番乗……り……。 「よう。遅いなハルヒ」 あり得ないわ。なんで遅刻まであと一時間半もある時間にキョンがいるのよ。 今日は雨……が降りそうな気配もないわ。なにがあったのよ。 「誰かさんのせいで昨日眠れなくてな。しょうがないから早く学校に来たわけだ」 あ。昨日のアレは結構キョンに効いちゃったみたい。あたしは全然問題ないんだけどさ。 「確かにOKを口で言うまでとは言ったがあんなことされるとさすがに期待するだろ?」 確かにそれはわからなくはないわね。でもあんまり気にしちゃダメよ。 あんたは団員としての使命も全うしなくちゃダメなんだからね! 「そう思うなら早く結論を出してくれ……」 そう言うとキョンは机に突っ伏して寝息をたてはじめた。本当に寝れなかったみたいね。 あたしは自分の席について寝息で上下するキョンの背中を見つめた。 この背中が好き。この雰囲気が好き。だけど付き合うのは迷う。どうしてかって? あたしは今の状況が好きなの。もしも告白をOKしてこの環境が変わったらどうしようとか思っちゃうと簡単に返事出来ないのよ。 可能ならずっと返事をはぐらかしていたいわ。ずっと友達以上。恋人未満のままで……。 そんな関係を続けてもう一か月くらい経ったかな。変化なんて急に起こるもの。 やっぱりいつまでもこのままなんて理想は続かないみたい。 あたしは前と同じ時間。同じ場所にキョンに呼び出された。ただ一つ違うのはキョンから感じる雰囲気が全然違う。 「いつまで俺をおちょくるんだ?」 言葉にトゲがある。明らかにわかる怒りがあたしに向いてる。 「いつも朝比奈さんで遊んでるように今回は俺で遊んでるのか?」 ち、違うわよ。あんた言ったじゃない。返事はあたしが口で言うまで待つって。 「限界って物があるだろう。やけに俺にひっついてくるくせに返事ははぐらかす。そんなの我慢出来なくなって当然だ」 確かにそうなんだけど……。あたしは答えを出すのが恐い。この生活が変わるのが。 でもこのまま答えなかったらキョンが怒って生活が変わっちゃう。 「……じゃあどうすればいいのよ! あんたのせいであたしはずっと悩んでるのよ!?」 違う。あたしはこんなことが言いたいんじゃない。 「俺もお前のせいで悩んでるんだ!」 ほら。あたしのバカ。キョンが怒っちゃったじゃない。謝りなさい。今すぐに。 「……やっぱり無理だったか。すまんなハルヒ。悩ませて。もういいから」 ダメ。それ以上言わないでよ。それ以上言われる前に謝りなさいよ。あたし! 「告白する前に戻るぞ。じゃあな。ハルヒ。また明日」 夕焼けに赤く染まる世界に消えていくキョン。こないだみたいに見つめるしか出来ないあたし。 なんで肝心な時には動けないのよ。今追いかけて捕まえて謝れば間に合うでしょ? なんで動けないのよ……。 結局追いかけることが出来ないままあたしはベンチに座り込んだ。 結局元には戻れないと思う。あんなケンカしちゃったら明日からもう……。 あー。マズいわ。涙が出て来ちゃいそう。泣くのなんて何年ぶりかしら? 周りに誰もいないし泣いてもいいわよね? たぶん泣いたらすっきりするわよ。 人通りが元々少ない場所だったからよかったわ。あたしが泣いても誰にも迷惑かけてないし。 はぁ……。キョン。キョン。大好きだったのよ。でも変わるのが恐かったからしょうがないの。 だからまた明日からは仲良く……。 「何を泣いてやがる」 ……また来るのね。泣いてないわよ。今度はなんで戻ってきたのよ。 「そんなに俺のカバンの上は居心地がいいか?」 どうやらまたカバンを忘れてその上にあたしが座ってるみたい。ほんとバカキョンなんだから。 「帰りたいから退いてくれないか?」 「やだ」 「じゃあ隣りに座らせてもらうぞ」 羞恥プレイ? いやがらせ? ともかく性格悪いわ。普通は女が泣いてたらそっとしておくでしょ。 しかもほんとに黙って座ってるだけだし。優しい言葉の一つでもかけなさいよ。 そりゃあたしが返事しなかったのが悪いから言葉なんてかけたくないだろうけどさ……。 「……返事」 「ん?」 そうよ。あたしはまだ返事してないもん。じゃあまだ大丈夫じゃない? 「告白の返事。OKだから。付き合ってあげるわ」 「…………」 やっぱりダメ? ちょっと都合良すぎるわよね。仲がギクシャクするくらいなら付き合いたいって思ったけど手遅れよね。 「……やれやれ。わがままな奴だな。そんなわがままな所も含めて好きなんだが」 キョンが優しくあたしの肩を抱き寄せる。……腫れた目見られちゃう。 「いいな?」 ここでキスしたらもう戻れない。けどよく考えたら全然心配いらないわよね。 だってケンカなんてしなきゃいいのよ。いつもお互い大好きでいればギクシャクしないじゃない。 あたしとしたことが久しぶりの色恋沙汰で弱気になってたわね。 「あたしが窒息するくらいまでやってちょうだい」 瞬間、キョンの唇があたしに当たった。手の暖かさと同じくらい安心する暖かさ。 『友達』では味わえない感覚。やっぱり『恋人』を選んでよかったわ。 もう一生離れないわ。あたしの性格やプライドねじ曲げてでもキョンとはケンカしないんだから! 「……もう限界だ。改めてよろしくな。ハルヒ」 窒息まではいかなかったけどしあわせで満腹にはなったから許したげる! 改めてよろしくね。キョン! つづく 次は『恋人以上……?』です
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amazonで探す @楽天で #君たちに明日はない を探す! 土21NHK 2010.01.16~2010.02.27 6.3% 公式HP wikipedia 前 外事警察 次 鉄の骨 Hulu NETFLIX dTV PrimeVide U-NEXT TVer Paravi GYAO youtube検索 / Pandora検索 / dailymotion検索 / bilibili検索 1 怒る女 2010/01/16 6.8% 2 去り行く者 2010/01/23 5.7% 3 二億円の女 2010/01/30 5.6% 4 旧友 2010/02/06 7.5% 5 オモチャの男 2010/02/20 6.3% 6 人にやさしく 2010/02/27 5.9%
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麻美 樹利亜(あさみ じゅりあ) 21才 身長170cm 体重61kg B100cm(H) W64cm H93cm 今時の女子大生、高校生時代から男遊びが激しく遊び人だが頭は良い 471 :脱出ゲーム:2010/02/05(金) 00 39 12 ID 3n0KkP5q 目を覚ますと私はベッドに寝ていた、辺りを見渡すとそこは真っ白い壁に 簡単な調度品が置かれている、 「えっと、私、部屋で寝てたはずなんだけど・・・」 たしか昨日はコンパで酔って帰ってきて化粧だけ落として寝たんだよね・・・、 ベッドから降りるとそこにはいつもの私のブーツがある、とりあえず履いて部屋を歩いてみると机の上に1枚の紙が置いてあり、そこにはこうかかれていた、 「キミは許されない罪を犯した、しかしワタシは寛大だ、 本来であれば即罰するところだがチャンスを与えよう、キミの実力でいくつか部屋からに出ることが出来ればキミを生きて元の世界に帰そう、しかし出れない場合、キミは一生、生き地獄だ GM」 はは、これって夢よね?と思いながら頬をつねる、 「痛い」 夢じゃないらしい、とりあえずドアノブに手をかけて回してみるけど開く様子はない よく見ると鍵穴が付いている 「この部屋から鍵を探せってことかな」 私の終わりのないゲームが始まった瞬間だった。 部屋を見渡す、とりあえず探せそうなのは・・・、 1・ベッド 2・衣装タンス 3・チェスト 487 :脱出ゲーム:2010/02/06(土) 02 03 02 ID NOzc5Bpb 「やっぱり何か入ってるんだったらここよね」 ベッドの横に置かれているチェストを開く、そこには赤い1本の鍵と4枚のカード、そのカードには 「汝の身に危険が訪れたときこのカードを使え、災厄を等価にて取り除くであろう」 そう書かれたカードにはそれぞれⅠからⅣの数字が振られている、 「等価ってことは何か払えってことよね、とりあえずもらっておこっかな」 私はカードをポケットの中にしまい鍵を持ってドアに向かう、 「まさかフェイクってことはないわよね」 そう思いながら鍵を回す、すると 「カチッ、ギー」 そんな音をたてドアが開く、ドアの向こうは真っ暗で何も見えない、 「まったく、明かりくらいつけなさいよね」 そうボヤキながら外へ一歩でると、 「えっ!」 周りの景色が一気に変わり油の匂いが私を襲う、 「なにこの部屋」 どうも部屋から出たら別の部屋になるらしい、それにしても・・・、 「なにこの部屋、真っ赤?でこの匂い、クレヨン?」 壁を触ってみるとクレヨン独特の触り心地、やはりこの部屋の壁は全てクレヨンの赤で塗られているらしい、その部屋には机があり、その上にはクレヨンで書かれたであろう。3つの絵と「好きな絵を1つ取れ」 という指示、そこに置かれていた絵は・・・、 1・ケーキ+数字 2・ステーキ+数字 3・肉まん+数字 501 :脱出ゲーム:2010/02/07(日) 01 42 21 ID 1JYtxzRE 机の上に並べられた3枚の絵、私はなんとなくステーキと15の数字が書かれた絵を取ろうとする、すると 「え?」 周りの景色、いや色が変化する、赤いクレヨンで塗られていた部屋の色全てがステーキの絵に変わる、 「何よこれ、アトラクションかなにか?」 そういっている間に徐々にステーキの焼ける音、匂いが部屋に充満していき、 「ゴワッ」 そんな音と共に壁の絵が消える、 「何がおこっ」 何が起こったか分からなかった、急に私の口一杯にステーキの味が広がる、和風、ガーリック、ドミグラス、色んなソースの味が口の中で混ざり合う、どういう方法かは分からないけど、絵が私の体の中に入っているのだろう、そしてそれは味だけではなく、私は満腹感を感じ始めていた。 「もうお腹一杯、いらないわよ」 しかしソレは私の言葉を無視してどんどん体の中に入ってくる、 「もういらないって、もうやめなさいよ!」 次第に胃の許容量を超えて入っていくソレのせいでお腹が少しづつキャミソールの裾を上に押し上げる、 「うぇ、もうはいらなっ」 体が限界に達した瞬間、私の手は意識を手放した・・・。 コレ以降はデブ化してしまうのでスレ違いかなぁ・・・
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出会い 質問は終わりですか? …その友達の名前? い、いえ… それはちょっと言えない…きゃっ! つ、つぐみ!? びっくりした… 今はインタビュー中だってば、もう… マイページ 通常 インタビュー中を狙って驚かすなんて…! ねぇ、質問はあとどれくらいあるの? 友達って、かけがえのない財産よね。 えっ!? ちょっ…いきなり何っ?? …いいリアクションが撮れた? も、もう… 登校 朝 さっき、上条さんと浅見先輩が何か撮影をしてたわね。 先生たちもいつもより忙しそう… 大事な日だものね。 節目だし、改めて学校の中を見て回ろうかなって。 つぐみも、なんだかいつもよりテンションが高かったわ… [苗字]くんはうちの学校のどういうところが好きなの? 昼 そろそろ私の番よね…? うぅ… 緊張してきた… [苗字]くんも正装なのね。その… 似合ってるわよ。 飲み物を取ってくるけど、あなたのも持ってこようか? みんな、インタビューにスラスラ答えられててすごいわ… これだけの規模のパーティーなんてそうそうないわよね。 夜 ふぅ… 慣れないことをしたから、すごく疲れたわ… …友達っていうのはつぐみのことかって? な、内緒よ… [苗字]くんもつぐみもニヤニヤして… 浅見先輩まで! …ナイスリアクション? 嬉しくないわよ、バカっ…! いつまでカメラを回してるのよ…! もう十分でしょ…! アルバイト …バイト代で記念品を? いい考えだと思うけど、学校側が受け取ってくれるかしら? 好感度レベルアップ その… [苗字]くんと出会えたことも、この学校に入って良かったことの一つよ。 好感度MAX …えっ、今の驚いたところを撮ったの? まさか、それを使うつもりじゃ……反応が面白かったから使いたい? そ、そんなのダメよ! 今すぐ消して!つぐみも、勝手にOK出さないで… も、もしかして、最初からそのつもりで…?もう、二人して私のことをからかって… …冗談? 私の反応が見たかった? うぅ… もう謝っても許さないんだから! デート 約束 創立記念日は大変だったわね… そういえば、インタビューの動画はあなたが持ってるのよね?インタビューの動画を一緒に確認して欲しい? わかったわ。じゃあ、あなたの家に行けばいい?予定を空けておくわね。自分の動画を見るのはちょっと恥ずかしいけど、必要なことだものね。 この前の動画チェックの調子はどう? 私に手伝えることがあったら、遠慮なく言ってね?…休日の学校を撮りたいから手伝って欲しい? ええ、いいわよ。私で良ければ協力するわ。ええ、わかったわ。当日は学校に集合でいいかしら? さっきまでね、つぐみと電話してたのよ。ふふっ、今日は電話が多い日ね。びっくりした。不意打ちのお誘いだったから… でも、私も出かけたいと思ってたところなの。その日なら空いてるから平気よ。楽しい一日にしましょうね。 当日 ごめんね、待たせちゃったかしら。…大丈夫? 良かった。それじゃ、行きましょ。今日はどんな一日になるのかしら? 記念になるような日になるといいわね。…なんて。 ボス戦 開始 バトルも撮影するの? [苗字]くんも見てるし、これは負けられないわね…! 勝利 私の勝ちね。[苗字]くんにもいいところを見せられて良かった。 敗北 今の映像も使うのよね? …どうしても? はぁ、散々だわ… バトル 開始 相手を驚かすのも手よね。 声援 記念日なんだし、勝利を飾りたいわよね 勝利 流石、[苗字]くんね。恰好良かったし、撮影しておけばよかったかも… 怪我もなく勝てて良かった… 心配もするわよ。だって、あなたも大事な友達だもの… 敗北 負けちゃったのは残念だけど、怪我をしなかったのは不幸中の幸いね。 ちょっと格好悪いかも… 相手のほうが強かったのはわかるんだけどね、うん… タッチボーナス 名前は恥ずかしいので… な、何!? もう、驚かさないでよ…
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小ネタ ありがとう ――『ありがとう』「おーい!御坂ー!」 背後から聞き覚えのある声がする、美琴は背中に走るビリビリを感じながらそっと振り向く。「ちょっとアンタ、どうしたの? 随分と疲れてるみたいだけど…?」「……ちょっと助けてくれ」 彼の息は乱れており、顔色も悪い……。事態の重大さを美琴は一瞬で理解した。「私なら力になるから、何があったのか説明してちょうだい!」「いいから来てくれ!」 ツンツン頭の少年は美琴の手を掴み、走り出した。「ちょ、どこ掴んでんのよ!」「…手だけど」「そ、そんなの分かってるわよ…」「マズイなら離してもいいんだけどー?」「ど、どうせならもっと強く掴みなさいよ、ハグれちゃったらどうする気…?」 もっとも一晩中追いかけっこ出来る人間が手を離したくらいでハグれる事はないだろう。 だけどもこの言葉は少年の心に響いた、そして手を更にギュッと握り締める。「痛くないかー?」「…う、うん」 『強く握りすぎ…』なんて言えるわけがなかった。 そう…走っている目的を忘れそうになるくらい……『嬉しかった』「ここだ、ここ……」 5分くらい走った先に、街を通る小さい水路にたどり着いた。 少年が指差す先はその下……そこには白い紙袋が引っ掛かっていた。「……アンタ、まさかこれの為だけにここまで連れてきたワケじゃないわよね?」「仕方ねぇだろ! 他の奴に任せられるようなモノじゃねぇんだから……」 その言葉の意味が分からなかった美琴だったが、折角頼られたんだから応えてあげよう…という考えで了承した。「で? 私は何をどうすれば良いのよ」「……考えてなかった」「はぃい!? なによそれ…」「いや…気付いたら走っててお前を探してたというか…」「ま、まあ…アンタだから良いわよ…」 連絡取れるんだからしなさいよ…と思いつつ『どうやって取るのか考えましょ』と続ける。「俺でも届かなかったのに御坂が届くわけねぇしなぁ……」「…中には何が入ってるの?」「そ、そんなの言えるワケねぇだろ!」「具体的に答えなくて良いわよ、磁石に反応するモノが入ってる?って事を聞きたかったの」 少年は数秒間思考した後に『ま、まあ…そうだな』と答えた。「なら簡単じゃない、ちょっと外の袋は焦げるかもしれないけど…」 と美琴は少年に言い放ち、紙袋を引き寄せるように何かを念じている。ように少年には見えた。 実際は電磁石と同じような事をやっているらしい。どういう能力なのかは本人しか分からない。「…御坂さんは念力も使えたんですね」「ちょっと黙ってて! 力の加減が相当難しいんだからっ!」「……はい」 数分後、壁を伝ってどうにか手の届く位置まで目的の紙袋が到着 少年は右手を伸ばし、手のひらサイズの紙袋をしっかりと掴んだ。「ま、この美琴センセー以外取れる人は居なかったでしょうね」 腰に手を当て得意げな顔をして少年の方を向く。「良かった…本当に良かった」「うんうん、じゃ私は行くから。どんな事でも困った事があったらいつでも言いなさいよね!」「……ちょっと待ってくれ!」「ん?まだ何かあるワケ? あ、でも暇だから付き合ってあげない事もないわよ」「御坂…ありがとう」 少年は微笑みながら礼を言う。「な!? そ、そんなお礼言われるような事した覚えなんかないわよ!」「…顔赤くなってるけど?」 美琴は自分の頬をポンポンと二度叩き「うっさいわね! あの能力使うと少し熱が出るんだから!」「わかったわかった」「なによ、呼び止めておいて…馬鹿」「ワリィワリィ、今回のお礼ってワケじゃねぇんだけど…これ」 少年は手に持っていた紙袋を美琴の方に差し出していた。「どういう事…? アンタ、これ大事な物なんでしょ?」「物凄く大事、だからお前を呼んだって言っただろ?」「じゃ私にあげちゃマズイんじゃないの?」「あーもう、御坂さんは鈍感ですかー? これはお前にやる為に買ったんだよ」 『アンタが言うか!?』と突っ込む前に言葉を止められた、いや止まった。「……」「と、とりあえず…手、出せよ」 美琴は言われるがまま、無意識に左手を差し出した。「…っしょ、これでよし!」 ボーッとしている美琴が左手を見ると、薬指に指輪が……。「ふ、ふ、ふ………」 少年もアレっ?と言った感じ……何やら不発に終わったらしい。「こ、こ、こ、こゆーとき…どーゆー顔したら良いかわっかんないのよね」「そんなの俺も知らねぇよ……」「と、と、とりあえず…責任は取りなさいよね」「え?」「じゃ、じゃー私忙しいから…」 少年は敢えて突っ込まずに自分の心に尋ねた『どうしてこうなった』のか しかし心が返した答えは極簡単な物だった……。感情の正体をようやく掴めた少年は美琴を追いかける。そう…この時を最後に御坂美琴の片想いは終わった―――終了
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パーティはどうやら食堂の上のホールで行われるようでした 着飾ったルイズの美しさにそれまでゼロのルイズと呼んでからかっていた同級生たちまでもが 群がってダンスを申し込んできます ですがルイズはそれを全部丁重に断りどうにかこうにかバルコニーに逃げてきました バルコニーから見えた景色の中に自分の使い魔も含まれていました 「・・・あいつが来るわけないわよね」 なんとなくこういうきらびやかな舞台に来ることを自分の使い魔は嫌っているの 目立ちたくないだけなのかどうなのか知らないが来ないものを期待するほどバカでもない その使い魔はなにをするでもなく、ただ星を見ていた 使い魔の男はなにをするでもなく学院の庭で星を見ていました (・・・俺の野望) その使い魔、ディアボロは少しばかり構想にふけていました (俺はなぜ野望の成就を目指したのだったか) 単純な考えでした。彼は己の野望を追い求めていました ですがそれは失敗に終わり、地獄を経てこの世界に来たのです 不意に自分を打ち倒した金髪の青年の言葉を思い出しました 「生き残るのは…この世の「真実」だけだ… 真実から出た『誠の行動』は、決して滅びはしない…」 ならばこの世界での生は自らが真実に到達したからだろうか 「そしておまえの行動が真実から出たものなのか それともうわっ面だけの邪悪から出たものなのか」 そうだ。簡単な考えだったのだから答えだって簡単だった (俺は・・・ただ幸福になりたかっただけではなかったのか?) 星を見上げる使い魔は答えに到達しました 自らを帝王にするという野望はただの幻想だということにして 今の自分は幸福にあろうとそう考えました この先、この世界で死にGERがまた発動したのならこの答えは一時のものでしょう ですが今は 「主人ルイズに仕える使い魔であるとしよう ―――なんだ。俺は彼女に好意を抱いているのか」 いたって他人事のようにそう言いました 「きっとお前も同じなのだろうな。ドッピオ」 自らのもう一つの人格に話しかけるディアボロ、返答はありません 「・・・・・だが」 一つため息をついてディアボロは 「・・・俺は幸福にあるべきではないな」 きっと彼は暖かくあることを恐れているのでしょう 自らの娘が出来たところで野望を成就させようとした自分は殺そうとしました 自分は幸福にあろうとすることは許されない 暖かさを拒絶した自分にはもう訪れさせてはいけない ・・・そう。幸福を得ようとした代償に大量の他者の幸福と暖かさを奪ってきた自分にその権利は無い 「・・・だが、お前はちがう。 ドッピオ、お前には権利はある」 もう一度、もう一つの人格に話しかけます。もちろん返答はありません 「お前は主人格である俺に命令されただけだ。おまえ自身の意思は介入していない ―――もしも、俺が消えてお前が残ることがあるのなら」 お前だけでも幸せになれ、その言葉をディアボロは心の中に止めておきました 特にやる事も無く星を見ていたディアボロの横に 「なにしてるのよ?ディアボロ」 自らの主人が来ていました 「・・・何もしていない。だがよく私だと分かったな」 ふとした疑問を主人にぶつけました 意識変更による多少の肉体の変換はありますが基本的に殆どドッピオと変わらないはずです 「分かるわよ。雰囲気っていうか周りの空気っていうか・・勘で分かるのよ」 「そうか」 会話はそこでとまりました。ディアボロは話すことなんてありませんので基本はルイズからの返答のみです 「・・・ねえ」 ふとルイズに話しかけられました 「何だ?」 簡単な返答を返します 「・・・頑張って、頑張りぬいた人が最後に報われないっていうの、どう思う?」 「それは仕方の無いことだったのだろう。所詮、努力を重ねたところでそれが叶うかどうかなど未知数だ 努力は単に成功率を上げるためにする行動だ」 「・・じゃあアンタはどうなの?」 「それも同じだ・・・だがそれが他者から奪い作られた努力なら別だ」 「でもアンタはフーケを倒したっていうのに・・・何にもないなんて」 ディアボロは目の前の主がただ報われないのが嫌なだけということを理解しました そしてこう答えました 「使い魔なのだから賞賛されるのは主だろう。私にはそれで十分だ」 「でも・・!」 「あと賞賛するのであればドッピオにしてくれ ―――私にはその資格はない」 そういってディアボロは寮へ歩いていきました (それでも・・・アンタだけが報われないなんて) ルイズには彼の言葉への反発しか生まれませんでした 「絶対に・・・認めない。アンタだけが報われないなんて」 そう言ってその背中を追って行きました ですがその後を追って部屋に行ってもディアボロはもう眠っていました 「・・このくらいならいいわよね?」 彼以外、誰もいない部屋でつぶやき 「・・今回は助かったわ」 そのお礼の言葉をつぶやきました
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前ページ次ページゼロと世界の破壊者 第7話「王都トリスタニア・前編」 日は変わり、今日は虚無の曜日。週に一度の学院の休日である。 朝食を取り終え、外出の準備が整ったルイズは、何故か夏海と共に写真館の前で待たされていた。 「街に行くんだから、馬小屋で馬を借りるんじゃないの?」 「馬?そんな前時代的なものより、もっと便利なものがある」 そう言われて写真館の前で待っていると、士とユウスケが何処かで見た事ある鉄馬を引いてやって来た。 「こ、これに乗るの…?」 ルイズは顔を引きつらせた。 それはルイズが夢の中で見た『仮面ライダー』達が乗っていた鉄馬だった。『バイク』と言う乗り物だと教えられる。 「ほらよ」 ルイズは士からヘルメットを手渡された。どうするものなのか判らずにいると、先に冠っていた夏海に付けさせてもらった。 この世界には道路交通法は無いので別に着けなくても問題無いのだが、そこは一応、安全上の問題である。 「お前は俺の後ろで良いな。夏海、お前はユウスケの方に乗れ」 「はい」 夏海は頷くと、ユウスケのバイク、『トライチェイサー』の後ろに跨がった。 それを見真似でルイズも士のバイク、『マシンディケイダー』の後ろに跨がった。 「ちゃんと掴まれ、振り落とされるぞ」 「う、うん」 ルイズは士の腰に腕を回した。身体がぴったりと士の背中にくっ付いて、何か気恥ずかしい。 「行くぞ」 そう言って士はエンジンを始動させ、ゆっくりとバイクを発進させた。それにユウスケのバイクも続く。 だんだんとスピードは上がり、あっという間に馬では体感出来ないスピードに達した。 「…え?ちょっ!?速っ!!?」 初めてのスピードに、ルイズは声を上げた。 あっという間に学院の敷地から飛び出し、馬に乗った学院の生徒達を次々と追い抜いて行く。 いつの間にか魔法学院はまったく見えなくなっていた。 「おい、ちゃんと道案内頼むぞ」 「わ、わかってるわよ!」 ルイズはちょっとヒステリックに叫んだ。 士達を召喚して一週間と少し、彼らには驚かされてばかりである。 その日、キュルケは外から轟く聞き覚えの無い轟音に叩き起こされた。 「…もう、朝っぱらからなんの騒ぎよ…」 キュルケは目を擦りながら自分の安眠を奪った犯人の顔を確かめようと窓から外を覗き込んだ。初めはまたコルベールが何か変梃な発明をしたんだろうと思ったが、違った。 中庭を轟音を轟かせて疾走する2頭の馬…のような鉄の塊。そこに跨がっていたのは、間違いない。 「ツカサ!!?…と、ルイズも!?」 片方は今キュルケが最も夢中になってる男、その後ろにしがみついていたのは特徴的なピンク髪の憎き宿敵に間違いない。少し距離が離れていたが、恋する乙女フィルターにかかれば相手が意中の男かそうでないかを見分ける事など雑作も無いこと。 2頭の馬のような鉄の塊は名馬の如き速さで学院の外へ出て行ってしまった。 「…こうしちゃいられないわ!」 キュルケはネグリジェを脱ぎ捨て、手早く着替えと化粧を済ます。手慣れたもので、10分掛からず全て終わらせ、寝起き姿からいつもの輝く良い女に変貌を遂げる。 「今から馬を借りて追いかけても追いつけそうにないわね…ってかあの鉄の馬みたいなのって何なのよ…馬?馬なのかしらね?あれ」 しかしそんな事今はどうでも良い。あのスピードで走る士達に追いつく事が重要だ。考えうる最適な方法はただ一つ、キュルケは迷わず部屋の外へと向かう。 こんな時、持つべきものは親友だ。 学院を出て一時間程でルイズ一行はトリステイン王都・トリスタニアに到着した。 2台のバイクは門の傍にある駅に馬と同じように預けた。初めてバイクを目の当たりにし、駅の親父が目をまん丸くしていたのが印象的だった。 「良いの?あんな所に置いてきちゃって。盗まれちゃわない?」 この世界には存在しないある意味貴重なものだ。好事家達が欲しがらないとも限らない。 「キーは外してある。大体、この世界の人間には使えないだろう」 それもそうか、とルイズは納得した。 「わぁ、ここがこの世界の街ですかぁ…」 トリスタニアの町並みを目の当たりにして、夏海が思わず感嘆の声を上げた。 「そうよ。ここがトリステインの王都、トリスタニアよ!」 ルイズは胸を張って誇らしげにトリスタニアを紹介してみせた。いつもは自分が驚いてばかりなので、ここで一発彼らを驚かせてやろうと胸を張った。 「思ったよりも狭いんだなぁ」 が、まったく予期せぬ反応がユウスケから返って来たため、ルイズの腰が砕けた。 「ま、車もバイクも無い世界だからな、こんなもんだろう」 士はそう冷ややかに言いながらも、目につく所を次々とカメラに収めていた。被写体としては気に入ったようだ。 「私は良いと思います。まるで絵本の世界に迷い込んだみたいで」 「似たようなもんだしな」 素直に感心してるのは夏海くらいだ。 三者の予想外の反応に、ルイズは少しだけ気が滅入った。だがまだ街に着いたばかり、こんな所でへこたれてどうする!と、無理矢理自分を奮起させた。 「…で、アンタ達、今日は情報収集って言ってたわね。一体どうやって情報を集めるの?」 「さてな。とりあえず、その辺をぶらついてみるか」 そう言ってまた別の所を写真に収める。 「…無計画、なワケね…」 ルイズはげんなりする。 「大体この世界の仮面ライダー探すって、そんなのがいたらとっくに国中で噂されてるわよ」 「人知れず活動しているって事もあり得るからな。まだ目覚めてないって可能性も十分にある」 「何よそれ、そんなの探しようがないじゃない!」 「ま、ともかくこの世界じゃお前の使い魔が俺の役割らしいからな。こうしてれば、いずれ向こうから現れるだろう」 「そんな都合良く行くのかしら?」 士達の9つの世界の旅の概要は聞いている。なんでも世界を訪れると士にはその世界での役割を与えられる。衛士とか音楽家とか弁護士とか、コックに学生に郵便屋に…と、それこそ色々な。 そしてその役割を果たす事でその世界の仮面ライダーと接触出来る、と言う話らしい。何とも都合のいい話である。 「だからってずっと学院に引きこもってるわけにもいかないだろう。何より健康的に良くない」 「ま、そうよね」 ルイズだってたまの休みに羽を伸ばすために街に買い物に出る。仮面ライダーの情報が集まるかどうかは置いておいて、彼らを学院の外に出してあげる事が本日の第一目標、と言う事に今決めた。 「さあ!早く行って、聞き込みしましょう!」 「…張り切ってるわね、ナツミ」 「当たり前です!早くこの世界の事について知らないと。もう随分とこの世界に居っぱなしなんですから」 「ちょっと待ちなさい!アンタ道判んないでしょう!?」 息巻いて街の方に歩いてゆく夏海を慌てて追いかけるルイズ。それにユウスケも続き、士もやれやれと肩を竦めながらその後を追う。 と、ふと士は視線を感じ、そちらを振り向いた。 だがそこには見知らぬ人々がただ街を行き交っているだけで、視線も何も感じられない。 「…気のせいか?」 「何やってんだよ士!」 痺れを切らしてユウスケが士の元に駆け寄ってくる。 「いや…、何かの視線を感じて、な」 「視線?」 「ツカサ!ユウスケ!置いて行くわよ!!」 先を行くルイズが二人に呼びかける。 「ほら、行くぞ士!」 「…あぁ」 ユウスケに連れられて、士は疑問を拭い切れぬまま、ルイズ達と共に街の中心へと繰り出して行った。 するとその近くの物影から、ぬっと一人の中年の男が姿を現した。この男こそ、さっき士が感じた視線の持ち主。 茶色いコートを羽織り、茶色い帽子を目深に被っていた男は、明らかに周囲から浮いていた。 もし士が彼と出会ったらこう呼ぶであろう。鳴滝、と。 「ディケイド…遂にこの世界へ足を踏み入れてしまったか…」 鳴滝は眼鏡の奥から憎悪を含んだ視線で遥か先を行く士達を睨みつけた。 しかしすぐさま口元をにやりと吊り上げる。 「…だが良い、今日ここでお前の命運は尽きる事になる!精々最期の時を楽しむんだな!はははははは!はははははははは!」 高笑いを上げながら鳴滝は人ごみの中へと消えて行った。 だが不思議な事に、周囲の人間は誰一人としてそのような奇行を振る舞う男の事など気に留めなかった。 トリスタニアの西側大通り。 その衛士の詰め所で、二人の衛士がポーカーを興じていた。 本日も街は至って平和。平和であれば衛士達の出番も無い。 今日は虚無の曜日、遠出してここトリスタニアにやってくる人も多く、街はとても賑わっていた。 「キャーーーーッ!!」 「う、うわぁぁぁーーーっ!!!」 だが突如上がった悲鳴が状況を一変させた。 「ば、化け物だぁーーーーっ!!!」 「何!?」 大通りは阿鼻叫喚の大騒ぎに陥り、人々が突如襲った何かから逃げ惑う。 衛士二人はトランプを置くと壁にかかっていた槍を持って詰め所を飛び出した。 外に待っていたのは地面に転がる無数の死体と、血の水溜まり、そしてその真ん中に立つ、くすんだ緑色の肌の見た事も無い亜人。 「何だ?オーク鬼…?」 「いや違う…こんな亜人、見た事も無いぞ」 横並びの六つの丸い眼、側頭部から伸びた突起、その姿は彼らの知るオーク鬼のそれとは大きくかけ離れていた。 初めて見る亜人に戸惑いつつも、衛士達は手に持った槍の切っ先をその亜人に向けた。こう言った輩をこの街から排除するのが彼らの仕事だ。 だが亜人はまったく恐れる様子もなく、むしろそんな衛視達を嘲笑うかの様にゆっくり首を回した。 「なめやがって!俺ら平民でも、お前一匹どうとでも出来るんだ!」 「貴族だけがこの国を守ってるんじゃないって、証明してやる!」 そして同時に二人の衛士は亜人に斬り掛かった。 亜人は顎を左右に割り、言葉を発した。 『ゲゲルン ザジラシザ!』 それが、衛士達が今生で聞いた最後の言葉だった。 一方、時間的にそろそろ昼食を取ろうとルイズ一行はカフェの建ち並ぶ区画を歩いていた所で、遭う筈のない人間と遭遇した。 「あらん、偶然ね、ダーリン♪」 ルイズの顔が引きつる。 偶然?嘘だ。絶対嘘だ。ルイズは心の中でキュルケの言葉を真っ向から否定した。 キュルケの後ろにはタバサがいつもと同じ無表情ではあるが、若干不機嫌そうに立っていた。 恐らくルイズ達が出掛けるのを見て、キュルケは慌ててタバサに風竜で追いかけてもらうよう頼んだのだろう、と、ルイズは推理した。 「なんだ?お前らもこの街に来てたのか」 「勿論!ダーリンを追いかけて来たに決まってるじゃない♪」 そう言っていつものように士の腕に絡み付こうとしなを作って近付くが、その前に夏海が立ちはだかった。 「………」 「………」 夏海から繰り出される無言のプレッシャーに、キュルケは思わずその場でたじろぐ。 (この娘、平民のくせに…出来る…!) 一触即発の二人の横で、士は小さく肩を竦めた。 「おい、それより昼飯はどうするんだ?まだ店も決めてないだろ?」 すると耳聡いキュルケは渡りに舟とばかりに士の発言に食らいついた。 「えっ?お昼まだなの!?じゃああたしがいいお店紹介してあげましょうか?」 「ふざけないでよ!何で私がツェルプストーなんかと一緒にランチを食べなきゃいけないのよ!?」 「あら、別にルイズと一緒にだなんて思ってないわよ。あたしはダーリンと二人っきりでって言ってるのよ?」 と、キュルケは夏海の一瞬の隙を付いてするりと士の腕に抱きついた。夏海が憎々しくキュルケと士を睨む。 「それこそふざけんじゃないわよ!キュルケ!いっつもいっつも人の使い魔にちょっかい出して…!!」 「仕方無いでしょ、あたしの愛は完全独走。誰にも超えられないわ」 「私が超えてやる!」 「ふふ、出来るかしら?愛の前に立つ限り、あたしに恐れる物は何もないわよ!」 「お前らいい加減にしろ…」 グダグダとまるで進展しない口喧嘩を続ける二人に、さしもの士も呆れ気味である。 そんなこんなで結局、一同はキュルケお勧めのカフェとやらで揃って昼食を取る羽目になってしまった。 「…別にあんた達まで来る事無いんじゃない?宿敵ツェルプストーとは一緒にランチなんて食べたくないんじゃなかったの?」 皿の上のパスタをくるくると巻き上げながら、キュルケはつまらなそうに言った。 「だからってツカサとアンタを二人っきりになんて出来るわけないじゃない!」 ルイズはぷんすかと頭から湯気を吹き出しながら切り分けた鳥もも肉のロースを口の中に放り込んだ。 そんな二人に挟まれて座っている士は、頬杖をついてうんざりしたようにフォークで皿の上の人参のソテーを転がしている。 その正面には夏海が座り、一心不乱にサラダを口に運びながら、二人の動向に気を配っていた。 因みに4人掛けのテーブルに収まり切らなかったユウスケとタバサはその隣のテーブルに着いている。 タバサはただひたすら無言ではしばみ草のサラダを頬張っていた。 「…よく、そんなに食べられるね…」 しかしタバサは無言。ユウスケは居たたまれない気持ちでサンドイッチを頬張りながら、隣のテーブルの動向に目をやった。 3人の女性に囲まれて流石の士も消耗している様子、何とも珍しい光景だ。 (三角…いや、四角関係か…大変だけど頑張れ!士!) ユウスケは心の中で無責任なエールを送った。 その士はいい加減うんざりしていた。 「…ったく、お前らもいい加減懲りろ、少しは」 「文句ならルイズに言ってちょうだいな。あたしは無益な争いなんて望まないのに、いつもルイズの方から仕掛けてくるんだもの」 「アンタが私を怒らすような事をするから悪いんでしょう!?その意味じゃケンカをふっかけてくるのはいつもアンタよ!」 「あなたには堪え性ってのが無いのよ。もう少し我慢するって事を覚えたら?」 「目の前で人の使い魔を奪い取ろうとしてるのに我慢出来るわけ無いでしょう!?」 「奪うだなんて人聞きの悪い。男と女、誰と誰が恋愛したってそれは当人達の自由でしょ?」 「ツカサは私の使い魔よ!使い魔の相手を選ぶのも主人の役目!ツェルプストーの女なんかお断りよ!」 「あら、じゃあどんな相手なら良いって言うのよ?まさか、自分が相応しいとか、そんな事言うんじゃないわよね?」 キュルケが目を細めてそう言うと、ルイズの頬にさっと朱が差した。 「なっ…!?そ、そんなわけないじゃない!ツカサには…」 と、そこでそれまで蚊帳の外にいた夏海が視線に写った。 「そ、そう、ナツミ!ナツミがいるわ!」 「えぇっ!?」 夏海は思わず口に含んでいたサラダを吹き出しそうになった。 「わ、私が、ですか…?」 二人の視線が集まり、夏海は狼狽する。 「夏みかんが?冗談じゃない」 が、そんな空気をぶちこわす士の一言。間髪言わずに『笑いのツボ』が押されたのは言うまでもない。 「っははは!あははははは!」 床で笑い転げる士を尻目に、女達の会話は続いた。 「で、実際どうなの?あなた達って恋人なの?」 「い、いいえ!全っ然!そんなんじゃないです!」 キュルケの疑問を夏海は真っ向から否定する。キュルケは口元をにやりと吊り上げた。 「ほら、つまりツカサはフリーなんじゃない。誰と恋愛したって自由でしょう?」 「だからってアンタなんか認めてやらないわ!ツカサの主人として、断固として反対よ!」 「ツカサがアタシを選んでくれても?」 「ツカサがなんと言っても、よ!」 ルイズとキュルケの間でバチバチと激しく火花が散った。 すると不意にキュルケの口元がツイッと吊り上がった。 「…どうやら、お互い譲れないみたいね」 ルイズの方もキュルケの意図が見透け、その口元を緩めた。 「…そうね、とうとうこの時が来てしまったみたいね」 ルイズが言い終わると同時に、二人は同時に杖を抜き、互いの鼻先にその切っ先を突き付けた。 和やかだったカフェの店内が、一色触発の状態に陥る。 「あ、あの、二人とも…!」 これは流石に止めねばと慌てて夏海も立ち上がろうとしたが、それよりも早くタバサが二人の間に自分の杖の頭を割り込ませた。 「ちょっと、邪魔するって言うの?タバサ」 キュルケが親友とは言え無粋を働くタバサを咎めたが、タバサは無言で首を横に振った。 「街が騒がしい」 「え?」 ルイズとキュルケは同時に声を上げた。 今日は休日で、街もいつもより賑わっているのは当たり前だ。だがタバサの言わんとしてる事はそうではない。 「…何かあったのかしら?」 ルイズの相手は一度保留にし、キュルケは店の外に目をやった。 確かにさっきまでの活気ある賑わいとは違って、何やら不穏な雰囲気が外から漂っていた。 「…行ってみましょう。ツカサ、いつまで寝てんのよ!」 ルイズは床にひっくり返っていた士を叩き起こすと、伴ってカフェの外に飛び出した。 「ちょっと、ルイズ!?」 慌ててキュルケもそれを追う。夏海、ユウスケ、タバサも後に続く。タバサはその際しっかりと食事のお代をテーブルの上に置く事を忘れてなかった。 店の外は、店内で感じた通り騒然としていた。 街を行き交う人達は、何故か皆同じ方向に向かって走っていた。まるで何かから逃げる様に。 「ちょっと、一体何があったの!?」 ルイズは近くを通り過ぎようとした平民の男を適当に一人呼び止めて事情を聞こうとした。 「あ、あんた、貴族様かい?」 「そうよ、トリステイン魔法学院の生徒。一体この騒ぎは何?何が起こってるの?」 「お、オーク鬼だ!オーク鬼が暴れてるんだ!もう何人も殺されてる!立ち向かった衛士達もだ!」 「オーク鬼ですって!?」 ルイズ、キュルケ、タバサの表情に緊張が走る。 「オーク鬼ってなんだ?」 3人の緊張を感じ取り、士は神妙な面持ちで尋ねた。 「この世界に生息してる亜人よ。辺境の村とかで暴れ回ってるって聞くけど、まさか王都に現れるなんて…」 「トリステインの魔法衛士隊は何やってんのよ!?」 キュルケがヒステリックに叫ぶと、そこを影が通り過ぎた。 一同が見上げると、鷹の頭と獅子の身体を持つ幻獣、グリフォンが数体、その背にマントを羽織った騎士を乗せて街の西側へと飛んで行った。 「あれは、トリステイン魔法衛士隊のグリフォン隊!」 「やった!これで助かるぞ!」 グリフォン隊の勇姿を見て、男がはしゃぐ。釣られて街を逃げ惑っていた人々も歓喜の声を上げたり安堵の表情をしたり。 これで安心と、キュルケとタバサの緊張も解れた。 が、ルイズはそうとはいかなかった。 「…行くわよ、ツカサ」 ルイズはグリフォン隊が飛んで行った街の西側へと足を向けた。 「ちょっ…!ルイズ!?何処行くのよ!?」 「オーク鬼の所によ」 それを聞いてキュルケの顔が青くなる。 「何言ってるのよ!?魔法衛士隊に任せれば良いじゃない!何もゼロのあなたが行く事ないわ!」 「ゼロだとか関係ないわよ!私の祖国、それも王都が汚されてるのよ!?それを見過ごしたら、トリステイン貴族の名折れよ!」 「だからって、ゼロのアンタが行っても何の役に立たないわよ!」 ルイズを必至に引き止めようとするキュルケだったが、その横をスッと士が追い越した。 「大丈夫だ、俺も一緒に行ってやる」 「ツカサ…」 士の強さはキュルケも折り紙付きだ。士に出てこられてはキュルケも閉口するしかない。 「行くわよ、士!」 「あぁ!」 すぐにルイズは街の向こうへと走り出した。士が空かさずそれを追う。 「待て!俺も行く!」 「わ、私も!」 ユウスケと夏海も慌ててそれを追って駆け出し、4人はあっという間に視界から消えた。 キュルケとタバサの二人だけがその場に取り残された。 キュルケは深い溜息を付いて頭を抱えた。 「どうするの?」 傍らのタバサが尋ねた。 しかし、キュルケの心は決まっていた。 「…決まってるわ。ヴァリエールばかりに良い格好させてたまるもんですか!」 そう言ってキュルケもルイズ達の後を追って走り出した。 タバサも、黙ってキュルケの後に続いた。 前ページ次ページゼロと世界の破壊者
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じゃあ……また明日ね。 「おう。また明日」 夕焼けに赤く染まる世界の中。あたしはいつもと変わらない背中で歩くあいつを見えなくなるまで眺めた。 どうしてあんなに平然としていられるのよ。あたしに告白しといて……。 そりゃあたしはたくさん告白されたしたくさんフってきたし、たくさん付き合ってきたわ。 でもね、こんなに近い人間に告白されたのは初めてなのよ。そう。あたしにとって『どうでも良くない人間』に告白されたのが初めて。 気がついたらいつも一緒にいる男。キョン。あんたはあたしを好きだって雰囲気なんて一切見せなかったじゃない。 なんでいきなり告白なんかするのよ。ふざけないでよ。あたしだってそうとわかってればそれなりの心構えで行ったのに。 心臓も頭も体も変になっちゃったじゃない。あ、立ってらんない……。 ベンチに座っていいかな? もうすぐ暗くなりそうな時間なんだけどさ。 キョンに告白された川沿いのベンチ。一度は立ち上がったけどもう一度そこに座り込んだ。 やばい。あたしとしたことが予想してなかったわ。まさかキョンがあたしを好きなんて。 だってこれまでそんな素振りは一回も見せなかったじゃない。 好きな人がこれだけ近くにいるなら何らかの動きがあるはずでしょ? いつもあたしじゃなくてみくるちゃんとか有希ばっかり見てるくせに……。 「なんだ。まだ居たのか?」 うひゃっ!? あ、あああんたこそなんでまだいるのよ! 「……お前が座布団にしてる物が何かわからないのか?」 不意に気付くお尻の下の感触。キョンのカバンがそこに置かれていた。 「さっさと退いてくれ。帰れん」 「はいはい。ちょっと待ってなさ……」 ちょっと待つのはあたしの頭の中よ。ここで退いたらキョンはあたしのお尻に敷かれた温もりのあるカバンを持って帰ることになるのよ? そんなの恥ずかしいじゃない! ここは意地でも退けないわ! 「おい。声に出てるぞ。いくら俺がハルヒのことを好きだからってそんな変態のような真似はしないからさっさと渡せ」 口に出てたかしら? いや。でもキョンが何と言おうが渡せないわ。 「そうか。じゃあ俺も横に座って待つぞ。……よっと」 ……しまったわ。こんな頭の中がグチャグチャの時にキョンが隣りに座るなんて予想外だわ。 そもそも平常心でいられるこいつは本当になんなのよ。軽い気持ちの告白? それは無いわね。あれだけ熱意のこもった告白受けたのは初めてだもん。 まさか平常心を装ってるのかしら? それはあるかもしれないわ。 あたしから手を触られたら意外に真っ赤になったりして。真っ赤なキョンなんてなかなか見れないわよね。 試してみる価値はあるわ……。 ベンチを見下ろすと二つの手が見える。あたしのちっさい手とキョンの意外におっきな手。 そういえばお互いに手を繋ぎあったことって無いのよね。いつもあたしが引っ張るだけで。 ちょっと繋いでみたいかも。……でも繋いじゃったら単純なキョンは勘違いしそうね。 あたしが告白をOKしたって思い込みそう。 それはそれでいいのかしら? あたしはどう返事しようとしてたんだっけ? あー。わかんない。心臓が脈打つ。頭がグラグラする。目が回る。 あたしはキョンを好きなの? 好き嫌いで言ったらそりゃ好きよ。 じゃあ恋愛感情は? 考えたこともないわ。だってこれまで通りでも楽しかったんだから。 返事を出せないあたしは何を考えてるんだろ……。 「おーい」 なによ。マヌケな声なんか出しちゃって。 「お前こそ何なんだ。俺の手をいじくりまわして」 キョンの右手があたしの両手に包まれてることを視界に入れた。……あたしってバカ? 無意識でこんなことしてるなんてあたしの方が変態じゃない。 「まぁだいぶ暖かいけどな。お前の手も暖めようか?」 キョンは何も気にしてないみたい。これくらい今まで通りよね。あたしが意識しすぎか。 「そうね。頼むわ。しっかり暖めなさい」 キョンの両手があたしの両手を包んだ。あー、暖かいわ。やっぱり思った通り安心感がある。 まるで小さい頃に握られた親父の手みたい。 「返事は……」 キョンはあたしの手を暖めながら口を動かしてた。あたしの顔を見ながら。 「返事はお前が口で言うまで待つからな。だからこうやって手を握ったって何されたってお前が言葉でOKを出すまでは俺達は『団長』と『団員』だ」 何が言いたいのかよくわからないわよ。バカキョン。でもなんとなくわかった気がする。 たぶんキョンはあたしに時間をくれたんだわ。考える時間を。 その優しさは本当にうれしい。でもね……キョンのくせに上から目線なのがムカつくわ。 今のセリフを逆手に取って反撃してやるわ。あたしはいつでも上じゃないとイヤなの。 「キョン。それはあたしが何をしても付き合ったりフったりしたことにならないわけよね?」 「その通りだ。お前が俺に全力ビンタをかまそうがフったことにはならん」 なかなか面白いじゃない。ちょっとこっちに寄りなさい。キョン。 「うげ……マジか」 キョンは本当にビンタをされると思ってるみたい。思いっきり目を瞑ってる。 でも違う。あたしの反撃はそんなもんじゃないの。 「ちゅっ」 これがあたしの反撃。何故か一回だけあった夢の中を含めたら二回目。現実なら初めてのキョンとのキス。 「は? 今、ハルヒお前……?」 今日は帰るわ。返事は保留にしとくんだからね! 生殺し作戦とでも呼んどくわ。キョンは期待するだろうけどまだ付き合ってはないって状況でイライラさせたげるのよ! ふふふ。楽しくなってきたわ。 「今度こそまた明日ね! バイバイ、キョン!」 目覚めもよく、あたしはいつもよりさらに早く学校へと向かった。 昨日のモヤモヤも全部なくなったし足取りも軽いわ。今日も教室に一番乗……り……。 「よう。遅いなハルヒ」 あり得ないわ。なんで遅刻まであと一時間半もある時間にキョンがいるのよ。 今日は雨……が降りそうな気配もないわ。なにがあったのよ。 「誰かさんのせいで昨日眠れなくてな。しょうがないから早く学校に来たわけだ」 あ。昨日のアレは結構キョンに効いちゃったみたい。あたしは全然問題ないんだけどさ。 「確かにOKを口で言うまでとは言ったがあんなことされるとさすがに期待するだろ?」 確かにそれはわからなくはないわね。でもあんまり気にしちゃダメよ。 あんたは団員としての使命も全うしなくちゃダメなんだからね! 「そう思うなら早く結論を出してくれ……」 そう言うとキョンは机に突っ伏して寝息をたてはじめた。本当に寝れなかったみたいね。 あたしは自分の席について寝息で上下するキョンの背中を見つめた。 この背中が好き。この雰囲気が好き。だけど付き合うのは迷う。どうしてかって? あたしは今の状況が好きなの。もしも告白をOKしてこの環境が変わったらどうしようとか思っちゃうと簡単に返事出来ないのよ。 可能ならずっと返事をはぐらかしていたいわ。ずっと友達以上。恋人未満のままで……。 そんな関係を続けてもう一か月くらい経ったかな。変化なんて急に起こるもの。 やっぱりいつまでもこのままなんて理想は続かないみたい。 あたしは前と同じ時間。同じ場所にキョンに呼び出された。ただ一つ違うのはキョンから感じる雰囲気が全然違う。 「いつまで俺をおちょくるんだ?」 言葉にトゲがある。明らかにわかる怒りがあたしに向いてる。 「いつも朝比奈さんで遊んでるように今回は俺で遊んでるのか?」 ち、違うわよ。あんた言ったじゃない。返事はあたしが口で言うまで待つって。 「限界って物があるだろう。やけに俺にひっついてくるくせに返事ははぐらかす。そんなの我慢出来なくなって当然だ」 確かにそうなんだけど……。あたしは答えを出すのが恐い。この生活が変わるのが。 でもこのまま答えなかったらキョンが怒って生活が変わっちゃう。 「……じゃあどうすればいいのよ! あんたのせいであたしはずっと悩んでるのよ!?」 違う。あたしはこんなことが言いたいんじゃない。 「俺もお前のせいで悩んでるんだ!」 ほら。あたしのバカ。キョンが怒っちゃったじゃない。謝りなさい。今すぐに。 「……やっぱり無理だったか。すまんなハルヒ。悩ませて。もういいから」 ダメ。それ以上言わないでよ。それ以上言われる前に謝りなさいよ。あたし! 「告白する前に戻るぞ。じゃあな。ハルヒ。また明日」 夕焼けに赤く染まる世界に消えていくキョン。こないだみたいに見つめるしか出来ないあたし。 なんで肝心な時には動けないのよ。今追いかけて捕まえて謝れば間に合うでしょ? なんで動けないのよ……。 結局追いかけることが出来ないままあたしはベンチに座り込んだ。 結局元には戻れないと思う。あんなケンカしちゃったら明日からもう……。 あー。マズいわ。涙が出て来ちゃいそう。泣くのなんて何年ぶりかしら? 周りに誰もいないし泣いてもいいわよね? たぶん泣いたらすっきりするわよ。 人通りが元々少ない場所だったからよかったわ。あたしが泣いても誰にも迷惑かけてないし。 はぁ……。キョン。キョン。大好きだったのよ。でも変わるのが恐かったからしょうがないの。 だからまた明日からは仲良く……。 「何を泣いてやがる」 ……また来るのね。泣いてないわよ。今度はなんで戻ってきたのよ。 「そんなに俺のカバンの上は居心地がいいか?」 どうやらまたカバンを忘れてその上にあたしが座ってるみたい。ほんとバカキョンなんだから。 「帰りたいから退いてくれないか?」 「やだ」 「じゃあ隣りに座らせてもらうぞ」 羞恥プレイ? いやがらせ? ともかく性格悪いわ。普通は女が泣いてたらそっとしておくでしょ。 しかもほんとに黙って座ってるだけだし。優しい言葉の一つでもかけなさいよ。 そりゃあたしが返事しなかったのが悪いから言葉なんてかけたくないだろうけどさ……。 「……返事」 「ん?」 そうよ。あたしはまだ返事してないもん。じゃあまだ大丈夫じゃない? 「告白の返事。OKだから。付き合ってあげるわ」 「…………」 やっぱりダメ? ちょっと都合良すぎるわよね。仲がギクシャクするくらいなら付き合いたいって思ったけど手遅れよね。 「……やれやれ。わがままな奴だな。そんなわがままな所も含めて好きなんだが」 キョンが優しくあたしの肩を抱き寄せる。……腫れた目見られちゃう。 「いいな?」 ここでキスしたらもう戻れない。けどよく考えたら全然心配いらないわよね。 だってケンカなんてしなきゃいいのよ。いつもお互い大好きでいればギクシャクしないじゃない。 あたしとしたことが久しぶりの色恋沙汰で弱気になってたわね。 「あたしが窒息するくらいまでやってちょうだい」 瞬間、キョンの唇があたしに当たった。手の暖かさと同じくらい安心する暖かさ。 『友達』では味わえない感覚。やっぱり『恋人』を選んでよかったわ。 もう一生離れないわ。あたしの性格やプライドねじ曲げてでもキョンとはケンカしないんだから! 「……もう限界だ。改めてよろしくな。ハルヒ」 窒息まではいかなかったけどしあわせで満腹にはなったから許したげる! 改めてよろしくね。キョン! つづく 次は『恋人以上……?』です
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(やっぱりやりすぎだったかしら…) ルイズは己の使い魔を見て考える。 食堂から出てきたあとから、ずっと元気がない『平民』 …パンナコッタ・フーゴのことを。 教室の床に座り込み、膝を抱えて譫言を呟いているばかり…。 あの食事は『主人』と『使い魔』の違いを理解させるために 用意させたのだが、それが予想以上に効いてしまっているようだった。 粗末な食事。当然不満がでてくるだろうが、そこに寛大な主人が 施しを分け与え、主従関係を強固なものにするという計画だったのだが…。 まさかあれを我慢できるだなんて誰が想像できるだろうか!? (何とかしないといけない!…のかな?) ルイズは少々複雑な感情を抱いた…。 『紫霞の使い魔』 第四話 【そいつの名は『ゼロ』】 「皆さん。春の使い魔召喚は、大成功のようですわね」 中年の女教師 ミセス・シュヴルーズは教室を見回すと、満足そうに微笑んだ。 視線の先にはサラマンダー、バグベアー、スキュア、カラス、大ヘビ、フクロウ、 人食いリス、カタツムリの殻を背負った犬、レザーブーツを履いた猫、 耳が ケンカか なにかで 虫に喰われた葉のように 欠けている ネズミ 服が 趣味か なにかで 虫に喰われた葉のように 穴だらけの 人間。 ………人間? 「おやおや。変わった使い魔を召喚したものですね。ミス・ヴァリエール」 シュヴルーズがとぼけた声で言うと、教室は笑いの渦となった。 「ゼロのルイズ!召還できないからってその辺歩いてた露出狂連れてくるなよ!」 小太りの少年がガラガラ声を張り上げて嘲りの言葉を浴びせる。 「違うわ!きちんと召喚したもの!こいつが来ちゃっただけよ!」 ルイズが立ち上がり、『床のモノ』を指さして反論する。 当の本人は、 「ぼくのは違う…ぼくのはファッションなのに……」 別方面の中傷に対して傷つく。もはや怒る気力もないようだ。 「嘘つけ!『サモン・サーヴァント』ができなかったんだろう?ゼロのルイズ!」 「なんですって!わたしを侮辱するの!?かぜっぴきのマルコルヌ!!」 「ぼくは風上のマルコルヌだ!かぜっぴきじゃないぞ!記憶力もゼロなのか!」 「あんたなんか『かぜっぴき』で充分よ!喋らないで!風邪が移るから!」 売り言葉に買い言葉…。二人とも段々ヒートアップしてきたようだ。 「ゼロゼロゼロゼロゼロゼロゼロゼロゼロゼロゼロゼロゼロ!!!」 「風邪風邪風邪風邪風邪風邪風邪風邪風邪風邪風邪風邪!!!」 いつまでも続くかのように思われたケンカだが、所詮 人生は有限である。 フーゴがルイズのマントを(力なく)引っ張って、椅子に座らせ シュヴルーズがマルコルヌと一部の生徒に粘土を食べさせることで 子供じみた不毛な争いは終結した。 「どんな理由があろうとも、お友達の悪口をいってはなりません。 それでは授業を始めます」 「──このように、『土』系統の魔法は皆さんの生活に密接に関係して───」 (コイツ随分元気になってるじゃない…) 床にいる自分の使い魔を横目で見て、ルイズは思った。 そう、フーゴはさっきの落ち込んだ様子から一変していた。 こう見えても彼の最終学歴は『中学中退』。 大体必要なことは独学で勉強したが、やはりまだまだ学びたい年頃である! それが初めて聞く事柄なら尚更だ。 窮屈な空間ではあるが、聞いた授業の内容を手帳に書き記している。 最も、書いている文字(?)はルイズにはまったく読めないが…。 それよりも まず、彼に授業内容が理解できているのだろうか? (ま、どうせメモを取ったところで無駄だけどね~) そもそも、魔法が使えるのは貴族のみ。 『平民』であるコイツが勉強したところで できるわけ… そう考えていたルイズの顔が曇り、 不意にトラウマが甦ってきた… 手が止まる。思考が止まる。時が止まる。 {{わたしは?わたしはどうなの?わたしは…}} 息が詰まる。胸が詰まる。言葉が詰まる。 {{わたしにそんなことを言える資格が…?}} 「どうかしたんですか?」 『使い魔』に声をかけられ、時が動き出した。 「大丈夫よ。なんでもないわ」 気丈に振る舞うルイズだったが、その顔色は冴えない。 「本当ですか?何処か悪いのなら…」 「そこ!授業中の私語は慎みなさい!」 中年女教師からの叱責が飛ぶ! 「「す、すみません!」」 見事にハモった。 「そうですね…それだけの余裕があるのでしたら 貴女に この『石』を『錬金』してもらいましょう。ミス・ヴァリエール」 その瞬間!鼓膜が劈くようなブーイングの嵐が巻き起こった! 「先生!『ゼロのルイズ』にやらせるなんて危険です!」 「『ゼロのルイズ』にやらせたら『終わり』って恐怖だけがあるんだよーッ!」 「おまえならできるッ!やれーッ!やるんだーッ!ルイズゥ!」 青ざめた顔で応援するヤツもいるが口の中に何かが見えた。あれも使い魔か? ハッキリ言って、フーゴには皆が何を恐れているのか解らなかった。 わかるのは彼女のあだ名が『ゼロのルイズ』だということぐらい…。 しかし、『危険』というのは一体? ルイズは少しうつむいたが、立ち上がり叫んだ! 「やります!わたし やります!」 教室に響く リンとした声。そして 絶望と落胆の声…。 されど 彼女の決心は変わらず、緊張しながらも教室の前に進んでいった フーゴの目にはその姿がとても凛々しく思えた。 そうだ。せっかく『主人』が魔法を使うのだからぼくも見て── (何コレ…?) 立ち上がったフーゴとは対称的に生徒達は全員机の下に潜り込んでいた。 二重の意味で、授業を受ける姿勢ではない。異常である。 「そんなところで何してるんですか?」 とりあえず一番近くにいた生徒に聞いてみるが… 「いいからお前も伏せろ!危ないぞ!」 …『危ない』?? 「えっ?それはどういう意…」 とりあえず言われたままに しゃがむと…! ドッッグオオオォォォォォォンンンン ギャグマンガでしか見たことがなかったような大爆発! 屈んでいたフーゴの頭を爆風がよぎった! 木片が飛び!窓ガラスが割れ!使い魔たちが暴れ出す! 「なっ!『石』が…いきなり爆発したぞ!?」 突然起きた出来事に対応し切れてないフーゴ。 まさか!?『ゼロのルイズ』というのは…!? 話していた生徒が忌々しげに口を開いた…。 「近づくなよ……『ゼロのルイズ』が『魔法』を使うとき 何者も そばにいてはならない……」 立ちこめていた爆煙がはれ、中から煤だらけになったルイズが現れた。 服はビリビリ、机はボロボロ、教師はピクリとも動いていない…。 そんな悲惨な状況を見まわした彼女の一言。 「ちょっと失敗したみたいね」 コレだけの惨事を引き起こしておいてそれはないだろう…。 いつも魔法が失敗するから『ゼロのルイズ』。 フーゴは そのあだ名の意味をようやく理解した。 そして…朧気ではあるが、自分が彼女に『召喚』された理由も…。 周りのもの全てを巻き込み、破壊尽くしておきながら 自分自身『だけは』何事もなかったかのように君臨する。 その姿は… ───彼女の可愛らしさとは縁遠いはずなのだが─── 忌まわしいほど醜い『アイツ』と重なって映った。 フーゴは痛み出した頭を押さえ、静かに呟いた…。 「…なんてこった……!」 To Be Continued…